食べたくないご飯が出ると、席につこうとしない【子育て相談】

島村華子

食べたくないご飯が出ると、席につこうとしない4歳の女の子。「座って食べてほしい」と悩むお母さんに向けた、島村先生のアドバイスは?

モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育研究者である島村華子先生の著書、『親子でできるモンテッソーリ教育とマインドフルネス 』より抜粋してご紹介します。

※本稿は島村華子著『親子でできるモンテッソーリ教育とマインドフルネス 』(創元社)より一部抜粋・編集したものです。

※本記事の参考文献については、抜粋元の書籍に記載しています。

Q.食事を座って食べてもらいたいです

自分があまり好きではない、食べたくないご飯が出るとあまり食べないか、そもそも席につこうともしません。その際に、「せっかく作ったのに」と思って叱ってしまいます。
席についてないのに無理やり口に運ばせて食べさせてしまうのですが、本当は座って食べてもらいたいです。
それに対してのモンテッソーリ的な対処法はありますか?
(4歳女子の母)

A.まずは、食事の準備を手伝ってもらいましょう

これは親御さんにとっても、お子さんにとっても、ストレスですよね。 ご飯の時間は、子どもたちが大きくなった時にも、家族共有の機会になるので、大切な時間です。できるだけ楽しく、ポジティブな経験にできるようにしたいものです。

まず、子どもにタスクを与えて、食事の準備を手伝ってもらいましょう。子どもは大人と同じようにするのが大好きで、自分もやりたいと思っていることがたくさんあります。

モンテッソーリ教育でもよく推奨していますが、レタスをちぎってサラダを作る、子ども用のナイフできゅうりを切る、計量スプーンを持って調味料を入れるなど、子どもができることはたくさんあります。

料理だけではなく、お皿やお箸を置いて食卓の準備をするのも、子どもたちには適した仕事です。もちろん大人がやった方が早いですし、あとの片付けを思うと、おっくうな場合の方が多いと思います。

ただ、大変ではありますが、できる時に子どもを積極的に食事の準備に巻き込むことで、子どももだんだんできるようになるほか、食事自体にもっと興味を持つ可能性が高まります。

大人とお揃いの食器を用意してみるのもおすすめです。この年頃の子どもは、大人の真似をしたい時期です。取り皿など、親御さんの許容範囲内で大人と同じものを使ってもらうのも、外的ではありますが食事に参加するモチベーションにつながります。

モンテッソーリの教室では、できるだけプラスチック製のものは避けるようにしています。これは、壊れやすいものを教室に取り入れることで、壊れるものに対する子どもたちの注意力や丁寧に扱う動作を促すためです。

もちろん、教室内でお気に入りの陶器が割れてしまい、私自身心で泣いたことは何度もありますが、モンテッソーリ教育の「本物」を大切にする精神は、教室に置くものにも行き届いています。



次にしっかりと境界線を引いてください。安全のためにも、ご飯は座って食べるものだと一貫性を持って伝えることが大事です。「席を立つ=ご飯は終わり」という線引きをして、本人に選んでもらいましょう。

「座って食べる? それとももうごちそうさま?」。本人が食べないと決めたら、それで良しとします。

食べ物の話をする時に、責任の分配という考え方があります 。大人の責任は、どこで食べるか、何を用意するかを決めること。一方で、子どもの責任は、出されたものを食べるか食べないか、どれくらいの量を食べるかを決めることです。

「食べなかったら、栄養が心配」という親御さんもいると思います。研究によると、3歳の時に偏食だった子でも、偏食でなかった子と比べて、10代になった時に若干の栄養状態の差はあったものの、健康や発育に悪影響を及ぼすほどの差はなかったということもわかっています 。

栄養バランスを考えた食事を提供することはもちろん素晴らしいことですが、今多少食べるのを嫌がっていてもそんなに心配しすぎないでください。

最後に、ポジティブな点にフォーカスしてみましょう。

大袈裟にほめる必要はまったくありません。ただ、座れている時や、ご飯をきちんと食べられている時に、具体的に「一緒に座って食べられると嬉しいな」「席についてくれてありがとう」と、期待や感謝している行動がわかるように、すかさず具体的なフィードバックをしてみてください。

親子でできる モンテッソーリ教育とマインドフルネス

親子でできるモンテッソーリ教育とマインドフルネス(島村華子著/創元社)

お子さんに集中力がなかったり、友だちとうまくいかなかったりで、お悩みではありませんか? 将来のことを考えると心配ですよね。
でも安心してください。家庭で親の対応を変えれば、お子さんは大きく成長します!

マインドフルネスやモンテッソーリ教育を試してみたいけれども一歩踏み出せない、どこから始めて良いのかわからないという方におすすめの一冊です。